森会長からのメッセージ


 

ホームページ開設にあたって



 このたび、当会員の貞松氏の提案によりホームページを開設できることになった。静岡品質工学研究会は、「技術者は業務推進にあたり必ず条件を決定する」という前提にしたがい、短時間に効率的に目標に一致する合理的な最適化方法を議論している。

 

名誉会長に田口玄一氏をいただきレジェンド(シニア)会員による田口モデルを正確に記述する田口遺産の整理と公開も活動範囲も含めている。

 

一方、近代数学の発展にも関心を払っており、積極的に技術研究に展開できるかどうかを検証している。近年、計画行列(直交表を含む計画表を指す)の発展は著しく、空列なしで適用できる近直交表(NOAL12,更に線形主効果のみで構成されるカンファレンス行列(C)に注目し、数理研究者と技術者が同時に鳥瞰的視点から議論をできるように事例に適用し公開しながら議論している。

 

田口のSN比モデルが展開されて30年が経過している。この間に数理解析が進化し、SN比のような解析指標を経由しない新最適化が研究され設計現場でも実施されるようになった。その研究根拠は、解析特性は良いアイデアであるが変換時に計画行列が要求する線形加法性が崩れていくことにあり、結果的に最適解の予測精度が低下することである。この一連の研究は、「62%問題」として議論されている。

 

当研究会は、田口以外の新しい最適化手段にも関心を持っており、その数学的原理の確認と技術研究への可能性を探るために事例を作成し、数理研究者と意見交換をしている。

工業数学に関する研究者数は、米国内と米国に留学するアジア留学生が多い。例えばジョージア工科大学のWu教授は、数学専攻のphD(社会人コースでない)を40名輩出している。一方、日本の現状を見ると工業数学を専攻する博士課程は皆無に近いくらい少ないそうである。Wu教 授の統計研究の課題は、生産と品質問題、ビッグデータなどの社会的情報対応、数学理論の進化と解析手段である。日本が将来も産業界発展を継続するとするな らば、産業に関わる高度な近代数学に関わる学術研究者の育成も必要である。企業内技術者自身の工夫による“現行方法”の使いこなしにも限界がある。当研究 会は、この進化する数学分野を取り込み、大胆な実験効率化とより確かな予測手段を研究することを狙いとしている。

 

研究成果の公開議論には、品質管理学会と応用数理学会で静岡研究会とし、統計解析の普及活動でのWuHamadaの実験計画法第11章の翻訳配布などではTeam”Shizuoka”として活動している。

 

本ホームページは、研究成果の公開手段(無償配布前提)として2年間をかけて整備されていく計画である。ホームページ内には閲覧者と当会とコンタクトできる投稿欄がある。こちらの利用にも期待したい。

貞松氏の真摯で誠意あるボタンテア活動に感謝する。

20161122

 静岡品質工学研究会

 会長  森輝雄


「タグチメソッドポケットガイドブック」(2014-04-16発行)正誤表です。下記リンクよりダウンロードしてください。
正誤表